分離不安症
分離不安症とは、犬が飼い主から引き離されて過度のストレスにより過剰な吠え、不適切な排泄および破壊行動が起こることの総称です。
この症状を持っている犬は実際に約10%はいるようですが、獣医師の間でも病気として認識されるようになったのは比較的最近のことで、飼い主さんが異常であるとか病気の一部であるという認識を持っている方は少なく、見逃しやすいものといえます。
1 原因
飼い主と犬との関係があまりに強く、いわゆる「親離れ、子離れ」ができていない状態によるもの。
2 症状
留守中 破壊行動
トイレ以外での排泄
過剰な吠え
在宅時 飼い主につきまとう
注意をひこうとする
外出準備時の不安
帰宅時の異常歓喜
診断は犬の行動、環境、症状を総合的に判断と手行いますが、上記7つの症状のうち4以上該当すれば分離不安症であると考えられます。
3 対処法
行動療法は犬が自立することが重要で、特に飼い主の意識は重要です。「可愛い子には旅をさせろ」的意識が実践できるかどうかが成果を分けます。飼い主が犬に対する感情を抑え、犬を自立させ、一人でいることに慣れさせるか、飼い主が問題行動を我慢するか、の究極の選択といえます。
在宅時と留守中のギャップが大きいと症状を悪化させます。
無視
外出前に犬に注意を払わない様にします。
帰ってきても犬が静かになるまて犬を無視します。
問題行動があった場合も、犬を叱らない様にします。
飼い主のリーダーシップ
犬と遊ぶときは、あくまでも飼い主主導で行います。
疑似外出
外出しないのにコートを着たり、鍵を持ったり、犬に「行って来ます」といったりし、外出と不安が直接結びつかないようにします。
吠えに関して音楽をかけておくと、気をそらすという点で、一時的な効果はあると思われますが、原因を除去する手法ではない対症療法であるので、時間がたてば、効果が減弱していく可能性は高いと思われます。
また、おもちゃ等のお気に入りを渡せば、その時点で問題行動は止まる可能性は高いのですが、お気に入りをもらうために問題行動を起こすことが得であると判断すれば、問題行動がさらにエスカレートする危険をはらんでいます。
家の中で自由にできるということは何をしても良いという勘違いが起き、また、逆に守らなければならないなわばり自体も大きくなり、犬自身の負担も増えます。従って、ハウスを覚えてもらい、そこで静かにしてもらうという方法が現実的ではあります。結果として破壊行動を起こす場所に物理的に行けない訳ですから、破壊行動も起こせなくなります。 ただし、ハウスが牢獄にならないようにハウスの訓練をしっかりすることが重要です。
上記行動療法で50%の犬に改善が認められます。
また、薬物療法を行動療法とセットで行うことにより70〜90%の犬に改善が見られます。
治療・詳細については直接ご来院の上診断治療を受けてください。